最近は、医療従事者さんと話す機会も増えました。

僕自身が「看護科」がある高校を出てる事ももちろんありますが(同級生に透析医療に従事する方がいる)、因果関係のない(医療者と患者としての付き合いではなく通常の友人としての付き合い)他県の医療従事者さんとも付き合いが生まれました。

透析患者であっても、透析医療従事者であっても、「透析医療」を良くしたいという思いはみんな同じです。

そういった友人たちとの会話の中で、そこには混ざり合わない悲しい部分もあるような気がして色々思い悩む事も増えてきました。



透析医療を良くしたいという思いと医療従事者さんの苦労が増える問題


例えば、「夜間透析」や「オーバーナイト透析」に関してです。

僕自身は患者視点から、こういった夜間や深夜の人工透析はとても重要と思います。

なぜなら、そこには日中にハードな仕事をこなして透析を受けている患者さんが多くいるからです。

僕のような日中に透析を受けている中にも一部は例外患者さんもいるとは思いますが、通常、夜間や深夜に透析を受けている患者さんこそ、良い透析を受けるべき人達であると思います。

それぞれ生活もあるのですし、働かないと食っていけない問題もあります。

しかし、それは医療従事者とて同じ事でもありますよね。

いやいや、実は僕の母は数年前まで、老人ホームで働いておりまして、老人介護のスペシャリストでもありました。(80歳になっても介護の仕事をしてました。時には自分より年下の方の介護もしていたという(^◇^))

県や介護関連の協会などからもたびたび表彰されておりますので、表彰状が山のようにあります。

僕が小さい頃は、母のそういった仕事上の苦労などは知りませんから、よく、
「オカン、メシ!」とそういった極道息子でもありました。

なんせね、そういった老人ホームの仕事では「泊まり」なる深夜勤務が週1回ペースであった訳ですね。

子供時代の僕は、そういった素晴らしい仕事に対して、理解がまったく無く、結構な理不尽な注文をしておりましたな。(-_-;)

まあ、子供とは本来そんなもんでしょうが、透析医療で頑張ってくれている看護師さんや技士さん、また透析医の先生などにもそれぞれ家族はいらっしゃる訳でして。

そこで働くには、相応の苦労があるでしょうね。

要は、透析医療でその環境を良くしたいと願えば、そこには、医療従事者さんの疲弊問題も起きる訳です。

間違いなく、負担が増える人もいるのです。

ここが難しいなぁと物思いにふける事が増えました。

家族からの精神的軋轢と(僕の子供時代のように家族がその仕事を理解してくれない場合もあります)仕事では患者からの軋轢を受ける訳ですから、そりゃ、結構大変な仕事だなと思うのですな。

まあ、元々、医療は「ブラック企業」とも言われる事も多いです。

医療従事者の働き過ぎが社会現象として取りざたされる問題もあります。

元々、人の命を預かる仕事でもありますから、疲れてるからと言ってミスも許されないというかなりハードな仕事です。

SSS15



夜間透析の面白い大問題


まあ、そんな事は患者も重々承知の助ですが・・・。

ただ、自分の命もかかってる訳でして、時にその医療従事者さんの苦労を無視した発言もしてしまいます。(それは僕か(-_-;))

難しいですな。

医療の進化=医療従事者の負担の軽減

という風にはなかなかなりません。

むしろ、

透析医療の進化=透析医療従事者の精神・肉体の疲労

という方向に向かってるような状況だと思いますね。

中には、高い理想を掲げ、透析医療に邁進してくれる透析医療従事者さんもいるんですけどね。

そうした人が、どんどん疲弊して行くというのは何とも心苦しい。

昨日、少し裏で議論になってしまったのですが、許可を得ましたので、僕の友人のツイートを面白い例として取り上げてみたいと思います。

穿刺が難しい患者さんの元にチャレンジャー精神だけで刺しに行く技士さんを注意しても良いでしょうか。シャントは命なのに。夜間透析で手薄とは言え、先輩の穿刺上手さんがいるのだからお願いするべきでは? 5本も刺す結果に茫然


いやいやいやいや(-_-;)

まあ、僕が通う病院であればあり得ぬ話なんですが、2名しか医療従事者さんがいないという夜間透析ならではの問題なのではないでしょうか?

実は、僕個人としては、こういうチャレンジ精神の高い人が大好きなので、この技士さんは若い方だと思いますが、一発でファンになってしまいますな。

しかしながら、5本も打たれてしまった患者さんにとってはただ事ではない大問題でもあります。

シャントを作るのに相当な苦労をする患者さんも多いですから、穿刺ミスが1度の透析で3本というのは無茶苦茶な話ですからね。

笑っちゃイカン問題ではありますが、まあ通常は1回ミスした時点で、その先輩の穿刺上手のスタッフさんにチェンジしてもらうのが一般的ではありますね。

状況を聞くと、1本目の穿刺は成功し、その後2本目を刺す段階で3連続失敗。
ようやく4本目で成功という事でした。

この患者さんは、なんと、練習台になるべく笑って対応されていたらしいです。

止血やなんやで夜間透析なのに1時間近くかかってようやく透析スタート。

ああ、この患者さん、よく怒らなかったな。

まあ、その技士さんのキャラなどもあるのでしょう。

裏で色々議論したのですが、スタッフさんの成長も大事だし、かといってこれでシャントに何かあったり感染症でも引き起こした場合は、とんでもない事になる訳ですね。

患者視点だけでモノを言うのと、手薄な夜間透析ならではの何かの事情もあると思いますので、この問題は面白いと思ってしまいました(不謹慎ですけどね(-_-;))


穿刺5本という問題の背景


友人も「注意しても良いでしょうか?」と言ってるのは、この友人が通う病院がかなり良い病院らしいからですね。

非常に普段からお世話になってるという思いから、出過ぎた発言は控えたいと思っているから疑問形なんだそうです。

この友人も転院組で、最初の病院ではかなり苦労されたようです。

そして転院後、ようやく生活が安定するだけの透析になったという事です。

そういう有難い病院で、医療者さんたちのスキルも高い。

だからこそ、若い技士さんがスキルを上げて先輩たちに追いつきたいという、そういった事象が起きたのだと思いますね。

それを放任した先輩スタッフさんと、笑って対応した患者さん。

友人に言わせますと、この病院の患者とスタッフさんの友好関係が高いからそうなるともおっしゃってました。

ここまでの事情を鑑みて、皆さんはどう感じるでしょうか?

夜間透析でかなり遅い時間まで対応してくれる病院のようです。(場合によっては深夜0時近くまで対応してくれる事もあるらしいです)

という事で、夜間のスタッフさんは独身の方が中心になってしまいますね。

貴重な意欲的な若手なので、やる気を阻害したくはないので、注意しづらいなあという事もあるようです。

一応弁解しておきますが(それでも駄目だとも思いますが)、この患者さんはベテランさんでも穿刺ミスしてしまうくらい穿刺が難しいらしいです。

若手とは言え、それを5本で成功させたという事は、かなり穿刺のセンスはありそうですね。

まあ、せめて3本くらいでやれてれば何の問題でもない話なんですが(-_-;)

ただ、夜間の透析でも5時間以上回してくれる病院でもある訳ですし、この失敗を大きな成功につなげてくれるなら、(結果的にシャントや感染症の問題が起きなかった場合)良いですが。(良くもないけど)

結論としては、このチャレンジ精神の高い技士さんが1、2年後どの程度の腕になってるかで決まるのでは?
という事になってしまいました。

という事で、この技士さんには頑張っていただきたいと思います。

結果的に笑い話にでもなれば良いですけどね。

どうなんでしょう?

僕的には他院の話なので、どうでも良いといえばどうでも良くなってしまいますが(-_-;)

*穿刺困難者さんは少々無理を言っても良い気もします。穿刺上手な方に刺してもらって下さい。



透析医療が発展しながら医療従事者さんの負担が減る方法は無いのか


面白い題材が見つかってしまいましたので、変な話になってしまいましたが、患者目線と医療従事者目線というのが、うまくかみ合わない病院も多くあるようです。

患者さんの悩み、医療者さんの悩みは尽きませんな。

ウィンウィンの関係性になるのは相当難しいです。

そもそも、透析患者さんの平均年齢は70歳近い訳ですよ。

どうしたって、昼間の透析では高齢者中心になるし、夜間透析では若い元気な患者さんが中心になりやすい。

また、先進的な透析医療をしている病院では、若い働き盛りの患者さんが多く集まる。

そういった事で、病院や時間帯の差異もある訳です。

患者サイドとしても、若くて元気な患者さんは、医療者さんの負担も考えて、自分で出来る事は積極的に取り組む場合もあります。

しかし、高齢者にどこまで求めてよいモノやら・・・
という、問題もありますね。
高齢で、認知症になるな、と言っても無理もありますし。

生活が透析中心になり過ぎてる高齢患者さんもよく見かけてしまいます。

その中で、優しい顔つきだった看護師さんが数年を経て、キツイ顔つきになってしまったという人も見た事があります。

患者が安寧に透析を受けていくには・・・。
医療従事者さんの負担を減らしていく方法とは・・・。

尽きぬ思考ですが、患者さん同士の中の議論にも、こういった医療従事者さんの疲弊問題も加えて欲しいなという事をお願いしたいですね。



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