2018-05-14 (1)


2018年5月13日の腎内科クリニック世田谷・勉強会でゲスト講演を務めた「あずま腎クリニック(千葉)」東昌広先生の演題から、6時間透析について書いてみたいと思います。

なんと言っても、東先生の病院は、原則6時間透析という長時間透析専門病院ですな~。

僕が住む香川県には、長時間透析専門病院というのは無いんですよね。

僕が通う病院も僕を含め6時間透析患者が4人いますが、3~4時間の患者さんもいますからね。



4時間透析から6時間透析へ、一体何が変わるの


こんな女性患者さんがいたらしいですな。

2006年 多発性嚢胞腎による腎不全で透析導入、週3回・1回3時間透析が始まる。
2010年 週3回・1回3.5時間に変更
2013年 転院し週3回・1回6時間透析を開始

おお!
透析導入年が僕と同じや(*'▽')

透析開始(週3回3時間)
*同じ体制で寝てるのが辛い
*食べ物、水分制限が辛い
*元々食べるのが好きだったので、とてもストレスになる

時間延長(週3回3.5時間)
*延長された30分がとても辛くて長い
*リンの値が高く、レナジェルを18錠も飲んでいた
*血圧が高く、透析後に180~190 降圧剤を飲んで血圧が下がるまで帰れない

先生との出会い
「えっ、3.5時間!? あなたは若いんだからもっと透析時間を延ばしたほうが長生きできるよ。」
*えっ、いえ、3.5時間でも辛いのに時間を延ばすなんて無理です
「今度、長時間透析をするためにクリニックを開業するからおいでよ。」

かもめ日立クリニックで長時間透析を受けてる患者さんの講演を聞く
*その食事内容・元気ぶりを見て驚愕

転院(週3回6時間)
*6時間が全く長く感じられず、むしろ3時間半より短く感じた
*終わって歩き出した時、体が軽くて足がすっと上がる感覚に驚いた
*先生が「透析は頑張ってやるものじゃない」と言っていたのはこういう事か!

6時間透析前後の変化
6時間透析前
*自分が食べられないのに、家族の食事を作らなければならず辛かった
*ご飯は子供用の茶碗を使って見た目の量の少なさをカバーしていた
6時間透析後
*ご飯も家族と同じものを食べられるようになった。茶碗も大人用の茶碗で食べている
*旅行や外食に行っても家族と同じものが食べられる
*薬はカルタン1回2錠だけでリンの値も正常値
*血圧もすっかり下がり、降圧剤は不要。逆に血圧を上げる薬を飲むくらい
*かなり食べているのに体重はあまり増えない
*近所の人からも元気になったと驚かれる
*痩せすぎが解消し、標準体重となった
*肌の成分分析で水分・弾力・明度・シミ・キメがいずれも改善
*透析患者である事を忘れるくらい生活が楽しくなった


おお~(^◇^)
分かる。
分かるわ~(*'▽')

僕も4時間透析時代は最後の30分がとても辛くて、寝てても目が覚める事が多かったですな。
それが、6時間になったら辛さがなくなりました。
不思議現象に感じるんですが、結局のところ、毒素が引ききれてないのが原因だったのではないかと感じますね。

なんかね、今では体に毒素が残ってるんではないか? というのが気になるようになりましたね。



血液データのマジック


あずま腎クリニックのデータでは、貧血の度合いが分かる数値ヘモグロビンの推移で驚くべきデータ出てました。

他院で3~4時間程度の透析を受けてて転院して来られた17名の患者さんの2年後データなのですが。

まず、ネスプ(貧血改善などの薬剤)使用が22.9μgから2年後11.2μgへ

薬剤の使用が半減以下になってもヘモグロビン値が10.4から2年後11.5に上昇してますね。

リンやカリウムでも、食事量が増えていながら下がる傾向にあります。

ただ、これはあくまで血液データなんですよね。

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3~4時間の透析であっても、しっかり摂生すればそれなりの良い血液データは出せるのですが、それはあくまで血液内の数値でしかないという問題が内包されています。

体の中の体液量は60%で、その中のわずか5%が血液であるという考えが必要です。

残る体液の55%もクリーンにしない限り、透析の合併症の進行スピードを上げてしまいますね。

細胞膜と毛細血管壁を毒素が越えてきて、血管内に入ってくれない限りは55%の体液からの毒素除去は出来ない訳です。

3時間や3時間半の透析では、この細胞膜と毛細血管壁を突破してくる毒素がわずかしかないので、透析が辛くなりがちですね。

毒素を多く体内に残してしまっているので、透析後数時間で血液が元の毒素状態に戻ってしまいます。

長時間透析で体が軽くなるという現象は、この毒素除去が大量にでき、体内の毒素による阻害が減るからではないかと思われます。

おおよそ3時間の透析である程度の血液中毒素は一端血液から除去できるのですが、除去してからジワジワと毛細血管壁を越えてやってくる体内の毒素があるので、長時間透析のほうが毒素除去が大量に出来る訳ですな。

この原理を知っておかないと、至適透析は難しいかと思います。

体内の血管以外に存在する毒素量は普段計りませんので、血液データだけ見て良いか悪いかは、透析患者さんの場合は判別しきれないという問題がありますね。

合併症の進行具合で判断すべき問題かと思います。

僕のように、透析7~10年程度で合併症が出まくるというのは、早すぎです。
透析が足りてないからこそ起きる現象なのですね。



4時間透析は医学的標準ではない


東先生の講演で佐賀の前田病院(1989年に開設以来長時間透析を専門に行っている病院)の話が出てました。

なんと、前田病院では糖尿病性腎症の患者さんの15年生存率が、全国平均の約2.5倍(^◇^)

まさしく恐るべし長時間透析なのであります。


そう言えば、僕も6時間透析になって約半年が経過しました。
透析後、ベッドからスッと立てなかったのはゼロですな。

4時間透析の頃は、1回立ってフラフラするのでまた横になるというのが数回ありましたが、そういう感覚は全くありませんね。

透析後、僕は病院の送迎車に乗るんですが、着替えて送迎車まで行こうとしても血圧が低くて行けなくなった事もありますが、そういう事態に陥る事も今の所ありませんね。

前の病院時代などは、送迎車が家に到着しても、車から降りれなかった事が2回ありましたよ。

根性で車から降り、何とか家の玄関に倒れ込むなんて事はよくありました。

非透析日の活動状況が一変しました。

透析で、多くの時間を取られるという問題は生じますが、非透析日の活動量や集中力は格段に上がりましたので、マイナスを十分補って余りある状態です。

先日も深夜バス連泊で東京へ行きましたが、全く問題無く普段通り仕事出来てますね。

4時間透析の時は月曜日の朝東京から帰ってきても、その日1日は仕事になりませんでした。

ただ、問題として多くあるのが、6時間もの透析をしてくれる病院に限りがある事です。

これだけが普及が遅れてますね。

多くの長時間透析経験者さんが、
「2度と4時間透析には戻りたくない。」と語りますが、なるほど、それも分ります。


今回の、千葉のあずま腎クリニック・東昌広先生もやはり患者さんが元気になって行く姿を見て、やりがいを持っておられるのは感じましたね。

そりゃ、そうですな。

透析で(腎不全で)ボロボロになっていく患者さんたちを見続ける事は大変心苦しいでしょう。

大声で怒鳴る患者さんなどはいなくて、みんな元気で明るい。

僕自身も、性格が明るくなった感じはします。

4時間透析が標準というイメージがありますが、それはあくまで医学的標準ではないという事ですね。

僕自身も4時間透析時代は結構辛いのを耐えてた部分もありましたが、今は耐えなくても元気なので頑張る必要がなくなりました。

東先生の「透析は頑張るもんじゃない。」という言葉が身にしみますなぁ。


あ、東先生~(*'▽')
ブログでお名前出しちゃっても大丈夫ですか~?

「いいですよ(*'▽')」

と、とても気さくな東先生なのでした。


出典・参考資料 2018年5月13日 腎内科クリニック世田谷・勉強会 「シャントマッサージと長時間透析」あずま腎クリニック・東昌広先生


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