僕は自分の栄養がどの程度なのかは「アルブミン(Alb)」や「透析前BUN(尿素窒素)」などを見て判断してる訳ですが、よくよく考えてみますと、どちらの数値も栄養の全てを計れる数値にはなりませんね(-_-;)

血液データに限りがありますし、細かく血中のビタミン量まで計ってくれている病院も稀にありますが、通常はそこまでのデータは出ていません。

アルブミンやBUNであれば、目に見えない「アミノ酸」にも関わっているため、あまりに低い数値が出るようであれば「アミノ酸ロス」による栄養不足とも言えるかも知れません。

そもそも、「アミノ酸」が足りていなければ、筋肉低下が起こりやすいとも考えられます。


透析患者はビタミンBの脅威を受けている


しかし、今回取り上げたいのは、「アミノ酸」ではなく「水溶性ビタミン」に関する事です。

血液透析では、その性質上、多くの栄養成分も血液中から除去してしまいます。

その中でも、「水溶性ビタミン」が透析で除去されてしまっているという事なのです。

ん~(-_-;)

水溶性ビタミンというのは、
ビタミンC、ビタミンB(1、2、6、12)、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸の9種類です。

結構、持っていかれてますね。

実は、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸もビタミンB群の仲間ですので、(ナイアシン=ビタミンB3、パントテン酸=ビタミンB5、ビオチン=ビタミンB7、葉酸=ビタミンB9)ビタミンBは全滅となっています。

そう言えば、うちの母がよく「口内炎(けんびき)」を起こすので、ビタミンB剤を飲むのですが、効果は絶大です(個人差があります)。

という事は、「口内炎」がよくできるという方は、明らかにビタミンB不足とも言えますね。

実際にビタミンB不足で起きる様々な症状を見ていきますと、

*音に敏感になりイライラする
*不眠になる
*しゃべる気力が湧かない
*何をする気も起きない
*集中力がなくなった
*記憶力が弱くなった
*不安感が強い
*疲れやすくなった
*口内炎が出来やすい
*低血糖症状が出やすい
*皮膚炎や肌荒れ
*手足のしびれ(特に手・指先)
*舌の感覚がおかしくなる

といった事が上げられます。

通常、ビタミンB群というのは、多くの食品に含まれていますし、考えようによっては不足するのはあり得ないと言う方もいるのですが、実は透析患者さんは大きな損失を受けている可能性があります。

透析で除去される事はもちろんですが、使う薬や薬剤などでも、

*ステロイド=ビタミンB2
*ガスターやタケプロンなどの胃酸を抑える薬=ビタミンB12、葉酸
*抗痙攣剤=ビオチン
*抗生剤=腸内細菌のバランスが崩れる事でビタミンB全般

が消失されやすくなります。

更に食生活でも、カリウムの摂取を避けるため、野菜を煮炊き込みし吹きこぼすという調理法は、多くのビタミンB群を損失してしまいます。

乳製品や豆類、レバー、海藻、バナナなど、リンやカリウムの問題で避けがちな食材に多くのビタミンBが含まれる問題も重なります。

それだけではありません。
実は、ビタミンBをもっとも消費してしまうのは「ストレス」です。

アルコール、喫煙、頭(脳)を使う、ガン、歯周病、慢性炎症、感染症などでも多くを消費してしまいます。

あら~(-_-;)

透析環境にいますと、上記のような事ばかり。

かなりビタミンB群は不足してしまうのではないでしょうか?

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透析患者のイライラの原因はビタミンB群不足か?


僕はかねてより、透析患者のイライラの原因は心因性にあると主張してきました。

僕自身も透析を受けるようになって、以前に比べてイライラしたり、癇癪(かんしゃく)を起こしたりという頻度が増えてしまったと痛感しております。

当初はこれを「予期不安」からくる心因性症状と位置付けていました。

焦り、プレッシャーを自分で思っている以上に受け続けているのが透析環境だと思います。

いつ死んでしまうか、体調が悪い時の不安感、またあの不調が出てしまうのでは?という恐怖感、生活が立ち行かなくなるのではないか?という精神的重圧などから、ついついイライラしがちになるのではないかと思っていたのですが・・・。

そういった心因性だけではなく、もしかしたら透析を受け始めて数か月で、体内では急激にビタミンB不足が起き、それに脳が対応できずにイライラが増すという要素も加わっている可能性がありますね。

どうやら、透析患者のイライラの原因はかなり多くの要素の複合型と考えて良さそうです。

普段、それほどイライラは感じないという患者さんでも、透析直後の数時間はどうでしょう?

いつもよりイライラしませんか?

慢性的なビタミンB不足の上に、透析で除去されてしまいますので、透析直後からの数時間はイライラしやすくなっているのかも知れません。

逆に透析直後、落ち込みやすいという方も、ビタミンB不足が影響してる可能性があります。



ビタミンB群不足をどう解消すべきなのか


ビタミンB群はそもそも、1つ、1つの単体ではなく、複合して効果が上がるビタミンでもあります。

つまり、ビタミンB2だけを取れば良いというのではなく、ビタミンB(1、2、6、12)、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸の8種類すべてを補っていかない限り、効果的に力を発揮しません。(単体でも効果はありますが、複合する事でより効果が高まる。)

僕自身もこの問題に直面しており、早くからビタミンB群には注目していました。

これを食べる事によってどの程度改善できるか? を考えましたが、当時は4時間透析であり、増え幅の問題などもあって食べてビタミンB群不足を解消するのは不可能に近いという判断をしました。

そのため、ビタミンB群+ビタミンCというサプリメントで対応していたり、そこにアミノ酸も加えた要素でサプリメントを考えていました。

医師によっては、サプリメントは良くないという先生もいらっしゃいますが、栄養学に詳しい透析医の先生はモノによって有効と判断されている方も多く、特に透析で除去される栄養成分に関してはサプリメントを推奨している先生もいます。

僕も、昨年から透析患者さんが飲むべきサプリメントという話題で色んな先生からお話いただけたのですが、この分野は先生によってまったくおっしゃる事が違います。

正解が見えてこない、またはあまり詳しく勉強されていない事もありますね。

少なくとも、ビタミンB群が著しく不足しやすいという環境にいること自体は把握しておかなくてはなりません。

増え幅、カリウム、リンといった問題もあるため、どのように摂取していくのか、かなり難しい問題を多く抱えていると思います。




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