本当にこの透析療法で大丈夫なのか?

そんな心配が出てきた時に是非読んでもらいたい、全国の最先端透析医の語った珠玉の言葉たちをまとめてみました。

矢吹病院 政金生人先生


「よい透析」とは、まず一番目に透析がつらくないということです。

透析をするとものすごく疲れた感じがするとか体の痛みが強くなるなどで2時間くらい寝ていないと動けないというような場合は、もしかしたら透析が合っていないサインの一つかもしれませんので透析方法を工夫する必要があります。

透析がつらいとどうしても元気がでないし買い物にも行けない、買い物に行けたとしても料理も作る元気がないので結局出来合のもので食事を済ませてしまうというようなことになります。
そういったことで、つらい透析を続けていっているとどうしても合併症が多くなりますし、長生きができません。

そのため、「よい透析」とは、透析がつらくなく、毎日元気で、合併症がなく長生きできる透析ということになります。

第15回三島クリニック講演会 「じぶんでチェック じぶんの透析」 政金生人先生(矢吹病院
出典元 医療法人恵仁会 三島外科胃腸クリニック 第15回三島クリニック講演会


かもめクリニック 金田浩先生


1992年、フランスのCharra博士が、長時間透析の金字塔と評価される貴重な論文を、Kidney International誌上に発表しました。
その内容は1回8時間、週3回の長時間透析を実施した445名の患者の治療成績の報告であります。
表題は「Survival as an index of adequacy of dialysis」となっており、十分な透析治療を実施したかどうかを判断する基準は生存率である、と断定しました。

従来から、世界中で透析治療の効率の判定基準としては、Kt/Vが多用されており、Charra博士が生存率を重視したことは、当然とはいえ私にとって「目から鱗」でした。
長時間透析により、高血圧の管理が良好となり、その結果、10年生存率75%及び20年生存率43%と、丁度、日本の約2倍の良い成績をあげていました。

2005年、長時間透析が良いと信じる4透析施設の医師が中心となって日本における「長時間透析研究会」を立ち上げました。
当時は、人工腎臓技術料に透析時間区分が考慮されておらず、1回4時間透析が圧倒的多数を占めている中で、1回6時間以上の長時間透析を良いと信じ、実践している医師達は「変わり者」あつかいされていました。

2008年4月、驚くべきことに時の流れは長時間透析に傾き、厚生労働省は透析時間区分を考慮し4時間未満、4~5時間、及び5時間以上の3つの透析時間区分による人工腎臓技術料を設定しました。

厚生労働省はその理由として「副作用等により、透析時間を長くせざるを得ない患者がいることや、透析時間が生命予後に影響を与える可能性があること等を考慮し、透析時間に応じた、診療報酬上の評価を行う」と説明しました。

長時間透析が厚生労働省から正式に良い透析治療法である、と評価され日の目を見ることが出来るようになったことは、透析患者にとっても、また、透析治療に従事する医療者にとっても、大変喜ばしいことでした。

第6回長時間透析研究会 会長挨拶 金田浩先生(かもめクリニック
出典元 九州医事新報社 第6回長時間透析研究会【会長挨拶】


腎内科クリニック世田谷 菅沼信也先生


基本方針として「しっかり食べて動いてしっかり透析」を特に推奨しています。
栄養状態の良い方、筋肉量の多い方、透析量の多い方がもっとも長生きされています。

患者さんにはよく歩くことを薦めている他に、透析中に運動することで透析効率があがることから下肢エルゴメーターという機器を導入し、透析しながら足こぎ運動をしてもらうことで血管年齢も若返り、動脈硬化が改善し非常に調子が良くなった方もいらっしゃいます。
また、透析量を増やすために、在宅血液透析(HHD)に対応し、透析回数を増やすことで毒素の蓄積を防ぎ、合併症の防止にもつながります。

ベッド数を増やしたことで6時間の長時間透析も可能になりましたし、透析器を通る血流量を増やすため当院ではポンプの速度を平均より約1.5倍に上げて毒素の排出効果をあげています。.

血流量を上げると心臓に負担がかかり、透析中の血圧が下がると言われていますが、それは全くの迷信です。
高血流を行った方が透析中の血圧が保たれ、最も長生きするというデータは、海外でも実証されています。

全国平均の数値に比べて、当院の患者さんは平均年齢が4歳程高いにも関わらず、5キロほど体重が重く、筋肉量(%CGR)も15%ほど高く、栄養状態が良い方が多い。
中には透析歴40年を超えている方もいらっしゃいます。

血流を高くとって透析量の数値(Kt/V)が高いことが、患者さんの元気で長生きにつながっているのです。

ドクターズファイル インタビュー 菅沼信也先生(腎内科クリニック世田谷
出典元 Doctors File 頼れるドクター


坂井瑠実クリニック 坂井瑠実先生


透析を受けている方が亡くなるのは月曜日か火曜日だといわれています。
土日と2日空きがあるわけですから、危険が増すのは当然です。
そこで2日空かないようにするのが隔日透析です。

実は大切なのは、透析の回数や長さではなく、どのくらいの透析を行ったか、透析量なのです。

今、日本では週3回6時間以上の透析のことを長時間透析というようになってきていますが、7時間、8時間とさらに長時間の人も増えています。
同時に透析の回数を増やす人も増えています。

私は、在宅透析を導入して、寝ている間に透析をするとか、短時間でも毎日透析するのがよいと思っています。

教えてドクター インタビュー 坂井瑠実先生(坂井瑠実クリニック
出典元 うみ 教えてドクター 第1回 透析について


すずきクリニック 鈴木一裕先生


こちらは鈴木先生のブログにて新聞掲載内容を出されていたものです。
そのため引用が出来ませんでした。
リンクを貼っておきますので、是非読んでみて下さい。
12日の福島民報新聞「日常のカルテ」に投稿させて頂きました。 援腎会すずきクリニックいい透析への道 
鈴木一裕先生(すずきクリニック


しもかどクリニック 下門清志先生


先月からなぜオンラインHDFなのかを考えていまいたが、炎症性のサイトカインから炎症や石灰化に関与するホルモンも接着因子も血管増殖因子も分子量が1万から5万くらい有るわけです。

アルブミンが6万ですから、アルブミンが漏れるのもある程度しかたないですね。(3gから4g程度は)

これを除去しようというのがOHDFの初めの目標だった訳ですが、今では5型(現2a型・2b型)のHDでも同じ事が出来ます。

これら炎症性の物質が身体に蓄積しないようにするにははやり透析量を増やして、こうした物質を産生する免疫担当細胞への刺激を弱めるために、原因となる他の尿毒素の濃度を下げる必要もあるわけですね。分子量が小さい尿毒素はHDで時間をかければ十分抜けますね。

長時間・頻回透析に週3回4時間のOHDFはかなわない訳です。血圧を安定させるのにはHDFが最適ですね。

ブログ オンラインHDFは何を目指しているか理解しよう! シモンK先生(下門清志先生・しもかどクリニック
出典元 HDFって?もっと透析のことを知って欲しい Dr.シモンのオンライン長時間研究室


singeki8


なぜ長時間透析・頻回透析が元気透析を実現できているのか?


これらの先生の記述、またリンク先の全文をお読みになられると、いかに長時間透析や頻回透析が優れているのか?
十分分かると思います。

他にも紹介したい先生や、記述などは多々あるのですが、ネット上に残っていなかったりするので出典は諦めました。

そもそも、腎臓が健康な方は24時間腎臓が働いているにも関わらず、僕ら透析患者は人工腎臓によってだけ腎臓が機能している状態です。

そのため、短時間でより良く腎機能を発揮しようと、かなり無理の多い透析をしている上に、時間が短い事で尿毒素の抜けが不十分になっており、時間経過と共に合併症に悩まされる事になります。

僕自身も1回4時間、血液流量(QB)200ml/分の透析を10年に渡って受けて来まして、既に異所性石灰化や手根管症候群などの合併症が出てしまいました。

僕自身が1回6時間という透析に移行して以来、間違いなく体が軽くなり動けるようになりました。
それまでは、少し動くと筋肉が疲れ、長時間の歩行やスピーディーな歩行が出来ませんでした。
ゆっくり歩いたり、休み休み歩く事で対応していたのですね。

これは恐らく、10年に及ぶ4時間透析によって、抜けきれなかった尿毒素などが筋肉に溜まって、肺から送られてくる酸素が十分に筋肉に行き渡らなかったのではないかと推察しております。
溜まった尿毒素が筋肉中で酸素の流れを妨害していたのでは? と思います。

透析時間を4時間から6時間に延ばした事で、その溜まっていた筋肉の尿毒素が抜け始めたのではないでしょうか?

それで歩行がラクになり、スタスタといくらでも歩けるようになったのではないかと思います。

筋肉低下を避けるには、ある程度の筋肉負荷が必要ですが、酸素が十分に行き渡っていない状態で鍛えても、かなり効率が悪くなるというのは医学的にはっきりしています。

そういう意味で、動けるようになった事は、筋肉低下を防ぎやすくなったばかりか、動く事で体が徐々に元気になっていったと思います。

健常者並みに動ける事が、透析患者には必須項目ではないでしょうか?

もしも、同年代の健常者と比べて、少しでも動けないという場合は、明らかに毒素が体に溜まり過ぎていると考えても良さそうです。

その状態でいくら透析を繰り返しても、単なる延命にしかならず、元気透析は時間経過と共に難しくなってくるでしょう。

長時間透析や頻回透析、高血流透析などは、確かに諸説あるのですが、メリット・デメリットを公平に見ても明らかにどちらが優れているかが分かります。

特に皮膚感が違います。

人が体調を図る上で、皮膚の状態の良さ・悪さを参考にする事がありますよね。

肌荒れが多い時などは、食べられない時などに起こる事が多いですね。
また、顔色を見て判断する事も多いです。

4時間透析では、徐々に顔色が黒ずんで行く事は、病院内で長く4時間透析をしている患者さんを見れば分かります。

しかし、長時間透析をやっている患者さんたちは、年齢相応の肌の質感と、肌色を保っていますね。
僕も黒ずみが徐々になくなっていっております。

同じように透析時間を延ばしたら、顔色が良くなったという報告は全国から届いております。

これが意味するものは何でしょうか?

皮膚に表れるという事は、間違いなく健康に近づいていると考えて良さそうですね。

体は正直なのです。
体に悪い事をやれば、真っ先に皮膚に症状が出てくるのです。

皮膚感が良くなる。
まさしく、透析量を増やす事で実現する珠玉の透析なのです。




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