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おお~(*'▽')

いつの間にか、「在宅血液透析研究会」が研究会から学会に格上げされとる(^◇^)

素晴らしいですね。

で、2019年の山梨以来、3年ぶりにリアル開催の学会が行われました。(昨年はオンライン開催でした)

まあ、この「第24回日本在宅血液透析学会・第17回長時間透析研究会」は、患者の入場が出来ない学会となっております。
(学会ですからね)

とは言っても、在宅血液透析も長時間透析も、患者あっての医療(患者がそれだけの時間を捻出して治療しないと出来ない療法とも言えます)という部分もあり、今回、大会長の山川先生のご尽力で患者演題と、患者と医療者のセッション、更に広報での演題の3部門で広く患者への公募と出演依頼がありました。

中でも、「シンポジウム2 Hemodialysis & Work balance」では、演題発表者を公募されていたのですが、なんと、8組9名の応募があり、我こそはという透析患者たちが集まって来ました。

僕ら夫婦も応募していたんですけどね(>_<)

というか、「Hemodialysis & Work balance」というテーマは、是非言いたい事がある! 

夫婦で在宅血液透析をし、夫婦でフルタイム勤務をしている僕らにとってはまたとない機会でした。


演題発表までの秘話



また、「シンポジウム3 透析治療における医療者と患者のコミュニケーション」では、僕ら透析患者なら誰もが名前だけは知っているという、そうそうたる論者が4名も登壇されました。

一方、「ワークショップ2 在宅血液透析の広報を考える」では、並居る透析界の中の大先生たち、更には日本循環器学会の広報担当者(相当な方らしい)に混ざって、在宅血液透析を行いながらVTuberとして活躍する(書籍の出版やブログもやってらっしゃいます)透析患者さんが登壇されます。


(チャンネル登録してあげてね~(*'▽'))


さて、僕ら夫婦が登壇する「シンポジウム2 Hemodialysis & Work balance」で、僕らは5番手という事になりました。

というか、これ・・・
リンリンさんがトップバッターやな(こういう事をやらせればプロ顔負けの方です)

2番手が我らがチャンプ(博識です)。

3番手がアーティスト(とにかく舞台慣れしてる)。

4番手がITコンサルタント業の方(スライドとかお手のものに違いない)。


で、5番手が我々となるんですが・・・

こりゃあ、ここまでで言いたい事は全部出ちゃうな・・・

最初に抄録を作って応募していましたが(抄録を無視した演題発表は例がないので、抄録で書いた事は踏襲しておかなくてはなりません。)、そのまま発表しても面白みがゼロですわ。

最初の時点では、在宅血液透析における節約術みたいなところがメインに来る予定でした。


ん~(-_-;)
困った・・・


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そんな時に、妻のバスキュラーアクセスが閉塞し、透析が出来なくなるという大ハプニングが起きたのです。

ああ、これ、やりましょう(*'▽')



つまり、透析出来なきゃ、仕事もクソもねえ。
「バスキュラーアクセス命」やん!

臨時で首や鼠径部からの透析は可能ですけどね。
仕事も両立しながらとなると大変ですわ。


更に、せっかく夫婦で登壇するので、開催地が大阪という事もありますし、夫婦漫才要素も取り入れるか! という思考も働いておりました。

ま、これについては、あんまりやり過ぎてスベってしまった場合、村上ショージさんみたいになっちゃいますからな(^◇^)

という事で、お笑い要素はほどほどにしました(*'▽')


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これは、「良い透析スパイラル」です。

スライドのページめくりに失敗し、このスライドだけ表示時間が短かったので、ここでもう一度掲示します。


寿命が延びる事で生活設計が一変し、老後までを見据えた生活設計が必要になります。

収入を増やせば良いのですが、そのためには元気が必要ですからね。

必然的に「良い透析(元気になれる透析)」を求めていく事になります。


これにともない、実は僕はもう1つ学会で主張したかった事があります。

これは、「Hemodialysis & Work balance」のテーマがら少し離れるので割愛した部分でもあります。


負の透析スパイラル



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こちらは、学会では出してないスライドです。

「負の透析スパイラル」ですな。

これは、誰でもそうだとは思うんですが、透析時間は短いに越したことはない訳です。
短くて済むんならそうしたい。

でも、それぞれ理由があって長くしてる訳ですな。

1番の理由は2つあると思います。

・元気になれる
・食事制限、飲水制限が緩やかになる

この2つから、元気になった事で何かをやりたいという気持ちになったり、美味しいものを食べたりなどに繋がっていくのです。

そっち側は「良い透析スパイラル」なのですよね。

負の透析スパイラルでは、真逆の事が起きます。
何しろ食事制限や飲水制限が厳しくなりますし、合併症などが多発して、やる気も起きなくなって行きます。

透析患者さんははっきり2分されていると言っても過言ではありません。

Facebookなどで、僕と繋がってる患者さんは「透析を前向きに考えている」方がほとんどです。

ところが、僕と繋がりのない患者さんの中には、非常に透析にネガティブな方がいます。
もちろん、原疾患の問題や精神疾患などをお持ちの方もいらっしゃいますので、一概にネガティブが「NO!」とは思いませんが、別に原疾患の問題や精神疾患がないのに、透析に対してネガティブな方を時々見かけます。


で、まあ、ある医療従事者さんと話してた際に出た事ですが、

「目の前に良い透析をしてくれる環境があっても、断る患者さんが結構いらっしゃるのですが、それはどうしてですか?」と聞かれました。


なるほど~(*'▽')
よくある事ですな。

みんながみんな、良い透析を受けたい訳ではないのです。
もちろん、透析量を増やして元気になりたいと考える患者さんもいます。
ですが、それは少数です。

大半の患者さんが(高齢の患者さんも多いですし)、透析時間は出来るだけ短くしたいと思ってます。

これの答えは1個ではないのですが・・・

その中には、人生設計を崩したくないという考えがあるのではないか、と思いますね。

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つまり、透析を受けるようになって、透析導入病院や現在透析を受けている他の患者さんの有り様を見て、また、インターネット上や近所の人の話などから、昔の透析の話を聞いて、悪い印象のまま、今後の人生設計を決めてしまう人が多くいるのです。

また、ごく一部ですが、透析導入時に医師から
「透析を受けたら10年ですから。」と間違った情報を伝えられ、10年で自分が死んでしまうバージョンの人生設計を作っていたという話まであります。

事故死した透析仲間の話



このような間違った情報で作った「人生設計」だとしても、その「人生設計」を変えたくないという思考は働いてしまいます。

人間というのは弱いもので、年を取れば取るほど、環境の変化に脳がついていけなくなります。

脳は、思考の伝達形式をこれまで使ってるパターンで統一したがるのです。

なので、未知の事がやってくると、脳は拒絶します。



これは実際の患者さんの話です。
この方は透析導入の頃、知り合いに透析患者さんがいて、その方から透析を受けたら10年ぐらいでみんな死ぬよ、という話を聞いて信じていました。

それまで働いていたおかげで、厚生年金の障害年金がもらえます。

「ああ、ギリだけど貯金も含めて何とか食べてはいけるな。」

「仕事はやめてのんびり生きるか。」


さてさて、透析導入から5年が過ぎます。
そろそろなにがしかの合併症などは出始めてる頃ですよね。

むずむず脚症候群や血圧低下、足の攣りなんかは経験されてるでしょうか?

10年で死んで良いので、食事制限や飲水制限も特に頑張る必要もありません。

この頃、自分が通う病院が「良い透析」に取り組み始めます。

「〇〇さ~ん、今度うちでもオンラインで5時間透析をやるようになります。〇〇さんもお若いですし、どうでしょうか? 体調も良くなりますし、むずむず脚症候群も改善するかも知れませんよ。」と主治医から言われます。

「いや、先生。私はそういうのはやりません。今まで通りでお願いします。」と、この方は断りました。



で、この患者さんはどうなられたのでしょうか?



透析8年が経過した頃、これまでの体重増加による時間当たりの除水量の超過が続いた事が原因か、心臓疾患が現れました。
この方の担当医が素早く疾患を見つけます。
しかし、患者さんの方は手術も拒否。
投薬療法がなされましたが、本人が薬を飲まないものだから、改善は見られません。

透析10年目、透析のない日に軽トラックの運転中に心筋梗塞(後に判明)を起こし電柱に衝突。残念ながらお亡くなりになりました。



これは、知り合いの知り合いにあたる患者さんの香川県で起きた痛ましい事故でした。

ある意味、人生設計通り透析10年目でお亡くなりになられているので、自殺ではないかという事も言われたそうですが、先に心筋梗塞を起こし、アクセルを踏んだ状態で衝突したという話でした(四国新聞情報)。

最後は事故なので何とも言えませんが、透析5年の時にもしもオンラインHDF5時間(当時では珍しいです。2015年頃の事ですから)透析を受けていたら、この方はどうなったでしょうか?

というのが、とても気になりますな。

他人は変えられないが自分は変われる



たらればを言ってもどうしようもない訳ですが、ここまで頑なに拒否せんでも良いのに、この方は
「今更元気になっても困る」という思考が働いたという事でしょう。

いや、もう仕事もとっくに辞めちゃったし、また働くのは面倒だなぁ。
そう、思っていたかも知れません。

で、何とか食っていけるから、食えてるうちに死にたい。
そんな考えだったのでしょう。



いやもうこれ、こういう人の考えを変える事は難しいですよ。

アドラーも
「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。」と言ってますし。

1度作った人生設計を、変えさせる何かのきっかけがあれば、変わるかも知れません。

僕の場合は「父の他界」が最初の原因であり、結婚した事なども大きかったですね。


とにかく、1度作った自分自身の人生設計が邪魔してる訳ですな。


前にも書きましたが、
「病人」を演じて生きていくほうが楽です。

僕などは、会社で障害者扱いされたくないですから、たまに調子が悪い日があっても、元気な振りをして仕事してます。
これはしんどいです(>_<)

しんどいけど、歯を食いしばって頑張る。

天性の負けず嫌いや、承認欲求がさく裂しちゃうわけですな(^◇^)

だけど、病人を演じて(いや、本物の病人ではあるんですが)生きれば、周りも気を使ってくれますし、マジで楽です(*'▽')

でも、そういう生き方はしたくない。

どっちを取るかですな。

別にどっちでも僕は何も思いません。
所詮は他人の人生です。
好きなように生きればよろしい。

僕は痛くも痒くもありません。


ですが、良い透析の効果を身をもって体験してる僕からすれば、
「病院側から良い透析を勧められてるのに、受けないなんて勿体ない。」と思ってしまいます。

また、居住区に良い透析をしてくれる病院がない地域の方も同様に勿体ないと思うかもしれません。


ただ、現実として、生きる事に否定的な感性の持ち主は、別に透析患者に関わらず一定数存在するのです。

ここは、まず基本条件として理解しておかないといけません。


しかし、こういった人でも何かのきっかけで変わる場合もある。
(僕がその1人です)

呉の魯粛(ろしゅく)は言います。
「男子3日会わねば刮目してみよ。」

これは、三国志で出て来る呉の魯粛の名言ですな。

戦ったら豪傑無双だった呂蒙という武将が呉にいたのですが、当時の主君、孫権から
「お前は頭も良いのだからちゃんと兵法も勉強しろ!」と言われました。
呂蒙は主君に言われた通り、ちゃんと孫子や韓非子を読み勉強したので、数年ぶりに魯粛が呂蒙を訪ねた時に、魯粛が驚いた訳です。

「呉下の蒙ちゃんとは別人じゃん! なんでそんなに成長したんだ!」

これが「呉下の阿蒙」という言葉になり
「男子3日会わねば刮目してみよ。」ということわざになったのです。



さてさて、「良い透析を受けたくない群」の方々の方が圧倒的多数です。

僕自身は、本人が希望してない限り、高齢者さんへの長時間透析は反対です。
もう残り少ない人生なんだから、本人の望む透析で何ら問題ないと思います。
(好きに生きさせてやってくれ。もしもそれが僕の親なら、そう思います。)

ただ、若い患者さんの場合は別です。(原疾患にもよります)


えっ? 元気な方が良くない???


しんどい透析をずっと続けて、合併症だらけでこれからも過ごしていくんですか?



ん~(-_-;)
あなたの人生なんだから、別にどうでもいいんですけどね。

でも、合併症で苦しむ人は何十人も見て来たから、僕はいつも
「ああいう状態にはなってほしくない。」と思っております。

だから、僕は週に18時間も透析してる訳ですな。


で、元気だからその元気を活用したくなる。

しんどければ、何もやる気がしないのは当たり前です。

学会での患者演題は大成功(*'▽')



さて、「第24回日本在宅血液透析学会・第17回長時間透析研究会」の「シンポジウム2Hemodialysis & Work balance」は大成功に終わりました(^◇^)


実は、この学会では数年前までは、患者の入場も許されていたのですが、問題があって禁止される事態になっております。

そんな中、せっかく大会長の山川先生がチャンスをくれたのですから。

やっぱり、「患者の声は必要じゃないか!」という意見が出てくれないと困る訳です。

今回、「シンポジウム2 Hemodialysis & Work balance」に挑戦した8組9人は、そういった部分も分かった上で挑戦した方が多かったと思います。

我々9人の肩にのしかかるプレッシャーを、トップバッターのリンリンさんが見事に打ち破ってくれました。
医療従事者さんが絶句するくらい素晴らしいプレゼンテーションでしたので、2番手以降のチャンプやアーティストもその波に乗って、大喝采を浴びました。

ここで、僕ら夫婦が登壇!

とにかく10分しか時間が無いので、早口でしゃべる必要があったのですが、何とかうまく言えました。

笑いを取る場所も予定通り(^◇^)
大爆笑を取ったのは僕ら夫婦だけです(当たり前ですが。こんなところで笑いを取りに行く人は普通いません)。

何度も「夫婦漫才」と言われてしまいましたが、主催者側からは
「盛り上げてくれて有難う」という言葉を何度も頂きましたm(__)m


という事で、医療従事者さん側の反応も
「他の学会でも是非患者を呼んでくれ!」という意見が多数を占めておりました。

いや~、素晴らしかったですね。
中には子供の頃から透析40年という方もいらっしゃいましたし、遠方の施設へトレーニングに通って無事在宅血液透析導入を実現された方、透析医療に従事しながら透析も受けてる方などなど、大変興味深い話が多数聞けました。

後のSNSでも、たくさん声をかけて頂きました。
有難うございましたm(__)m

僕ら夫婦は、基本的にこれが言いたかったので、今回、学会に参加しました。

と、言うのも、
直接お世話になってる医療従事者さんには、いつでもお礼は言えますが、直接お世話になってはいないが、間接的にお世話になっている医療従事者さんもいると思うんですよね。

もっと言えば、例えばダイアライザーを最初に発明した方にもお世話になってますし、透析医療自体にお世話になってる訳です。

そういった方に何としてもお礼を言いたかった。
今回の結語こそが僕らの参加した理由でした。

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本当に有難うございましたm(__)m





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