「トシさんは、どうしてそんなに活動的に頑張れているのですか? 私も透析を受けておりますが、日々の透析で精一杯で、そんなに充実した精神状態にはなれません。私とトシさんで何がどう違うのでしょうか?」
という質問を頂きました。
一応ブログ掲載の許可は頂いておりますが、個人情報など多くありましたので、端折って掲載しております。
また、返信はすでにしておりますが、補足も兼ねてブログの方でもお答えします。
透析が中心となる日々からの脱却
まず、この質問を頂いた時、
「お答えするのが難しいな。」と思いました。
と言いますのも、僕自身は精神状態が充実してると思いますし、もしかしたら透析を受けている患者さんの中で最も心が充実してるのではないか? と思うくらい幸せいっぱいな日々を過ごしております。
ですが・・・
幸せや充実を感じる心というのは、人によって大きく違いがあります。
どういう事をやれば充実を感じるのか?
どういう状況であれば幸せを感じるのか?
これは方法論だけで語れるものではないと思うからです。
この方の現状は、1日6時間勤務(9時~16時)の時間給制週30時間勤務で、透析は夜間に月水金で4時間の透析を受けているそうです。透析歴は3年半という20代後半の方です。原因疾患は遺伝由来との事。
また、このブログを見て、透析を受けていても仕事は出来ると知り、昨年より今の仕事に就いたそうです。
僕と同じくハローワークからの応募だったそうです。
就職活動を始めた段階で、夜間透析のある病院に転院されました。
おお~(*'▽')
いいですね。
僕自身、透析以外の時間の使い方が大きなポイントとなると思っています。
知り合いや友人の中には、手話とか、英会話スクールとか、新たに大学生になった方もいらっしゃいますし、透析の事を忘れて没頭できる何かがあると良いと思っています。
どうしても透析を受けていますと、日々の生活が透析中心になってくるんですよね。
そして、それこそが精神を蝕んでいきます。
日々、何か没頭する事があれば、それに心が向いていくので、そのための体調管理となりますな。
例えば僕だったら、仕事を休みたくないので、体調管理はしっかりやります。
現在も心臓の検査を受けに行っております。
また、先日は、会社の健康診断で横浜に出ていました。
トシヒーロー@toshihiro104162会社の健康診断で横浜。
2022/05/20 11:42:54
昨日の20時以降何も食べてないので、健康診断終わりでレストラン街へ😃
はなまるあった~😃
きつねうどん中+とり天
ちなみに元うどん県民w https://t.co/LV7HVV7oai
透析が中心の生活となり過ぎると、自分自身の節制に力が入り過ぎ、ついつい他人の節制についても口出しし、嫌がられたり嫌われたりなどのストレスを受けたりします。
自分自身の事をまずしっかりやれば良いのに、他人が気になるのは健常者であってもあまり良い状況ではありません。
そういう事が続くことで、精神異常が起こる事はままあります。
ですので、そうならぬように透析以外で集中できる何かを作る事はとても良いです。
就労時間は関係なく、1日に6時間でも仕事をしてるというのは、そういう意味でも良いと僕は感じます。
仕事が気分転換になり、透析が気分転換になり、という事もあるかも知れません。
目指す生き方と現在の生き方の合致
その中で、あなたは何か目標はあるでしょうか?
心の充足を感じないというのは、あなた自身の目指すものと現在の生き方が合致していない可能性があります。
トシヒーロー@toshihiro104162透析などは、自分のQOLにかなっていれば、何時間でも何回でも関係ない。4時間で良い人は4時間で問題ない。
2022/05/18 08:29:56
僕の場合は1回3時間週6回が最もQOLが高かっただけ。そういう透析を勧めてくれる病院なら、4時間でも生存率は高く、合併症発生率も低いぞ。
そして、もう1つは「透析」の問題があります。
透析環境はどうしても地域差や病院で左右されてしまいます。
通常は1回4時間×週3回の透析ですが、透析病院側のご厚意で週4回透析や2週間7回透析(隔日透析)を行っている病院やクリニックもあります。
また、僕が行っている在宅血液透析も、推進している病院とそうでない病院があります。
ほとんどの病院では在宅血液透析は推進しておりません。(とはいえ、管理病院となってくれる病院はかなり増えたと思います。)
その中で、自分の生き方や人生観、人生設計において、どの透析が最も合ってるかを試したりするような事が出来ません。
僕と同じように在宅血液透析を無事始められたとしても、介助者の問題や穿刺が苦手などで断念される方もおられます。
自分自身に合ってないのに、新たな透析方法を試すというのは、逆にストレスやプレッシャーを生みますので、決してオススメできるものではありません。
ただ、体格差や1回の透析での増え幅の問題もあります。
増え幅が大きい人の場合、1回あたりの透析時間を延ばす事で、1時間あたりの除水量を減らす事が可能になるため、体への負担が減り、透析量も補える場合があります。
この状態ですと、体への負担が減り、透析で生み出される合併症などの進行速度にも好影響を与え、血圧が下がりにくくなったり、体の痒みやむずむず脚症候群が改善傾向になる場合があります。
不思議と、体調が良くなれば、心も健やかになります(*'▽')
人工透析では、人生の前途が崩されます。
週に12時間以上の透析を行う事になり、死ぬまでこれを繰り返す事になりますし、それに伴い、節制も同時に行わないとたちまち安寧な透析が難しくなります。
こういった事から、あなたの人生設計が大きく狂わされます。
これが、心の充足を生み出せない最大の原因となっております。
つまり、看護師さんに
「今日は増えが多かったですね。次回の透析では全部引き切るのが理想ですので、頑張ってきてくださいね(*'▽')」と言われたとしても、
いや、なぜ、頑張らなきゃいけないのか? 目標がなくピンッ! と来ない状態となっております。
で、心がイライラしてしまう。
こういった事の積み重ねで、更に生きる意味が分からなくなり、人生に希望が持てなくなっているのです。
人が生きるにおいて、目標というのはとても大切です。
「どうせ、何十年も生きれる訳じゃないし、透析で何も出来ないし、もうどうでもいいや!」
「体は痒いし、血圧が下がりまくってしんどいし、何もやる気が起きない!」
そういう思いは、目標を持たず、ただ「とりあえず生きてるから生きてるだけ」という人生になりますね。
節制も怒られない程度にはやりますよ~。
みたいになってる透析患者さんはよく見かけます。
実際に僕自身もそうでしたから、こういう方の気持ちはよく分かります。
頑張って節制するとか、そういう意味を見出せず、ただ単に生きてるだけでした。
本当にこんな人生で自分は良いのか?という葛藤
で、僕は思う訳ですな。
他人様が、別にこういう生き方をしてても、それはその人の自由で別段何とも思いません。
まあ、好きなように生きてくれたら良いです。
でも、僕自身はどうか?
本当にこんな人生で良いのか?
というのは心のどっかに必ずありました。
で、僕の場合は、最初の透析病院では周りの患者さんたちが10年前後でバッタバッタお亡くなりになっていた事もあり、38歳からの透析で50歳を迎える事は無いと思っていました。
そういう周りの現状もあって、生きられないなら頑張る意味もないという気持ちが勝ってしまっていたんですね。
ところが、47歳の時に父が他界し、仕事をしない事には食っていけなくなった訳です。
透析は当時10年目でしたかね。
「いや~、もうそろそろ死ぬ頃やん(>_<) 心臓にステント造設したり、腎臓ガンを摘出したばっかりだし、もう生きられんぞ。このタイミングで仕事か(>_<)」
無い知恵をしぼり、地元には夜間透析の病院がない事から、ネットで稼ぐ事を思い付き始めました。
まあ、これがSNSの透析患者さんの集まりに参加していくきっかけとなりました。
ケータイとか持ってなかったですからね。
で、そこで在宅血液透析を行っている患者さんと出会う事になります。
バンザイさんやオルカさん(現在は施設透析をされてますが、当時は在宅血液透析を行っていました)ですな(^◇^)
そこで、バンザイさんやオルカさんが透析年数では僕より長いのに、どういう訳か元気はつらつで顔の色つやや肌の質感が物凄く良い訳です。
ん?
地元ではこんな元気な患者さんは見た事ないけど・・・
何がどうなってる?
地元の患者会の催しに参加した時は、皆さん話しかけても大して反応ないし、全然元気が無かったが、ここにいる人たちは物凄く活力的だ。
何が違うんだ?
そうなってみて初めて「人工透析」の見直しというマイレボリューションが起きたのですな。
いやいやいや!
まず、どうしたら良いか?
「先生! 僕も長時間の透析にチャレンジ出来ますか?」とK先生に聞いた事がきっかけで、6時間透析が始まる訳ですな。
ちょうどこの進撃のトシヒーローを書き始めた時がその時でして、2017年12月に週3回×1回6時間の長時間透析が始まりました。
これで元気になって、色んな事が変わってきました。
体調が良くなると「やる気」が出て来るんですよね。
調子が悪いから、何もやる気が起きないんですよ。
そりゃ、そうだよね。
例えば、激しい頭痛がするとか、激しい歯痛がある時に、仕事したり遊んだりは、健常者さんでも嫌じゃないですか?
透析を受けてるとどうしても体調が優れないので頑張る気力が出ません。
でも、そういう経験を長くしてた僕の様な患者が長時間透析に挑戦した場合、数日で体調が激変するために体が軽くなって活動的になります。
激痛で苦しかった異所性石灰化の炎症症状もなくなり、外出先で血圧が急低下し動けなくなるなどの症状も半減以下になりました。
また、食事制限や飲水制限がゆるやかになった事でも精神に好影響を与えてくれました。
で、人生が楽しくなり、出かけているうちに今の妻とも出会い、結婚⇒神奈川移住⇒在宅血液透析移行⇒フルタイム勤務となっていく訳です。
次なる人生の目標が必要
まあ、この状態でしばらく小康状態となりました。
とりあえず目標だった在宅血液透析移行とフルタイム勤務が軌道に乗りましたが、まだこの時点では不安は払しょくしきれません。
というのも、頑張って仕事をする事で、疲れやストレスで体調を壊したりはしないか? というのは常に感じてました。
つまり、どのレベルまで仕事に打ち込んでよいのかがまだ手探り状態でした。
体調を壊すほどの仕事をしては色んな意味で問題が多くなってしまいますからね。
僕の場合は65歳まではこのフルタイム勤務を続けたいという希望があるので、そこまで順調に生活したい訳でもあります。
ただ、職場側も、障害者雇用の中途採用で入った社員に無理をさせて体を壊されたんじゃ困ります。
配慮等もあり、無理な仕事を押し付けられるような事はありませんでした。
が・・・
銀行ですのでね。
僕以外は配置換え等が頻繁にあります。
僕の担当業務で1番、2番の人がいなくなり、僕自身に大きな比重がかかってきました。
業務量が増えていきました。
ところが、全然こなせますし、次第に自分自身の仕事量が他を圧倒していくようになります。
とりあえず、就職した際は、みんなのフォローアップに努めようと、業務全体の進行状況を把握し、足りてないところを自主的にやるという感じの仕事をやっていましたが、この頃になると、自分の持ち場の業務を責任を持って全てやり遂げるというのが日課になっていました。
これでスキルが大幅にアップしたことで、社内での評価も大きく上がり、障害者雇用の中途採用では珍しくクラスアップさせようという動きにもなりました。
最大B1評価しか付かない部署でAランク評価をもらえました。(結構な異例です)
さて、またもや目標を見失いますな。
フルタイム勤務が実現してからの目標は、
まずは、みんなをフォローアップして職場の業務を円滑化させよう。
移動などで自分がリーダー的役割になってからは、部署内の事務処理能力の高い社員を目標に1件でも多くの案件を処理できるようになろう。
異例のクラスアップを目指そう。
というここまでを何とかやり遂げました。
次なる目標が必要ですな。
本来、正職員しかやってない会議資料の作成や、部署内のタスクフォース(業務の効率化など)のお手伝いなども出来るようになろう。
そういう思いで現在を迎えております。
更に、こういった仕事中心の生活を無事に行えている背景には、人工透析という医療をここまで躍進させてきた沢山の医療従事者さんの情熱がある訳ですね。
そのおかげで仕事にまい進出来てる訳です。
そういった皆様にも、恩返しが必要ではないかという気持ちもあります。
社会に対しての恩返しとしては、フルタイム勤務する事で社会の一翼を担うという事が目標だった訳ですが、医療に対する恩返しはまだまだ出来てないと思います。
僕や妻の臨床結果などが貢献材料にはなるものの、それだけでは駄目なんじゃないかな? という思いもあります。(まあ、これについては現在夫婦で検討中です)
という事で、僕自身の体験談にはなりますが、目標を持つという事が、日々の安寧へとつながる感じはします。
社会から必要とされている感覚、少なからず貢献出来ているという感覚は、精神の充実を確かに生んでくれます。
こうしたことが、充実した人生につながっているのではないかと思います。
透析元気7か条
最終的に僕が言える事としては、
① 透析を受けているという理由で何も出来なくなったと思うのは錯覚です。
② 目標を持ち、それにまい進する事で透析を受けているという重圧を軽減できます。
③ 透析量が不足した状況では体調に問題が起きるため、目標を持ってまい進するのが難しくなってしまいます。
④ 自分に合った適切な至適透析を目指すため、患者仲間や信頼できる医師や医療従事者さんに相談し、至適透析を実現する事が必要です。
⑤ 体調が良好になれば活動的になり、精神的な透析に対する重圧も軽減します。
⑥ 食事制限が難しいと感じる方の場合は(増え幅が多い・水分摂取の我慢が難しいなど)、透析時間を延ばして時間当たりの除水量を減らす事で、体調に少なからず好影響があります。また、節制が楽になるので精神的に明るくなれます。
⑦ 目標を1つ達成できるたび、次なる目標を作ってまい進する事が大切です。
あくまで僕自身のやり方であって、皆さんにもこれが適切かは分かりません。
人が生きていく上では家族の問題(僕も父の介護をやってました)などの家庭の問題もありますし、透析においては地域差などもある事から、簡単ではないでしょう。
その中で自分自身に合った、生き方や透析を模索し、行動を起こす事から全ては始まっていきます。
脳は新しい事をやる事を嫌います。
新しい事をやるのは、プレッシャーやストレスがかかるため、なるべく日常を変化させたくないという思いが心に芽生えます。
果たして今の人生のままで良いのでしょうか?
いや、僕は今の人生のままでは嫌だ!
そう思ったから行動できた訳です。
何も難しい事をしたとは思いません。
やっていくうちに向こうから勝手に道が開いていきました。
人工透析を受けるようになって死にたいと思った事も1度や2度ではありません。
でも、今日こうして充実した日々が過ごせるのは、多くの仲間のおかげでもありますが、ある意味奇跡が起きたとも思います。
奇跡は行動する者に舞い降りるのですね。
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