SSS79


「透析を受けているからという理由で特別扱いはしてもらえない時代となった」ということを、全国腎臓病協議会の専務理事がよくおっしゃってました。(何度かお会いしました)

これは、社会の中でも、透析病院の中でも同様で、「圧迫する医療費」の問題があるからだと思います。

つまり、透析が時代と共に変わろうとしているということです。

障害者1級、透析などの医療費の助成、ヘルプマークの普及、障害者雇用支援などなど、社会では十分に透析患者に対し恩恵を与えています。

災害時などでも政府や透析医学会・透析医会などが積極的に取り組むようになり、災害時透析難民がなるべく出ないような施策が日々練られています。

もう、これ以上の恩恵は不可能とも言えますね。

一般社会の中でも、社員数50名以上の企業では、障害者雇用をしない場合のペナルティなどもあり、障害者の中でも健常者との能力に遜色がない「透析者」への期待が高まっています。

障害者雇用というシステムがなければ入れないような大企業に就職した透析患者さんも出始めました。

一方で、これだけの恩恵がある訳ですから、社会は人工透析に厳しい目を向けているのです。

年間に1兆6千億円という国家予算が使われますので(医療費以外の他の事業なども含めれば更に)当然なのかも知れません。



現代日本社会は、人に対して厳しい批判を繰り広げる時代となってしまいました。

チェック体制がとても厳しい世の中です。

その中で、透析を受けているからこうしてくれというような訴えはもう通らなくなってきています。

それが先の全腎協・専務理事の言葉の元となっているのです。



さて、これは透析患者さんだけに問われていることではありません。

透析医療に従事する方々も実は同様です。

ある地域では、かなり広範囲に渡って、「夜間透析」を行っている透析病院がありません。

一例ではありますが、こういった地域は、透析者の社会復帰に積極的ではないとして、地域の医療者丸ごと強い社会的非難を受ける可能性を持っています。(社会復帰しようという気持ちが患者にあってもシステムが充実しなくては不便もあり、そのせいで国家の税収の妨げになるからです)

また、透析医療の診療報酬の盲点を突き、より儲かる方向へと診療報酬改定の度にコロコロと透析スタイルを変えていくような病院は、社会からの厳しい批判を受けることになるでしょう。

処方を減らすための取り組みや、透析者への社会復帰を促していける透析システムへの貢献が求められていく時代となりました。

透析を受けても心身ともに元気になれない患者を輩出してるようでは、社会への逆行となりますので、注意が必要です。



莫大な医療費が使われているのですから、透析患者・透析医療従事者は最低限これだけの努力をしろというような批判は当然のように受けてしまうのでしょう。



しかし、それでもこれだけの支援が行われるようになった背景には、先人たちが歯を食いしばって頑張って来たことがあります。

それは患者会活動などを指しているだけではなく、普段の行いなどがもっと大きく影響しています。

透析になっても懸命に働いてきた患者さんは多く、以前は透析の水準も今のレベルではありませんでしたから、元気に仕事ができる期間も短かったと思いますが、それでも頑張ってきた患者さんが多くいて、それが社会に受け入れられてき始めたのです。

先日のコラムでも書きました。

【透析コラム】近年の透析導入期の患者さんたちの思考が大きく変わっている

【透析コラム】オーバナイト透析&在宅透析が現代透析を象徴して行く時だ


先人たちが体調の悪い中で頑張ってきた姿勢は、今の透析導入者への良い手本として、透析導入に際し気持ちを落ち込ませることなく、人工透析医療を積極的に取り入れむしろシステムを上手に使って飛躍するような患者さんまで生み出せるようになってきています。

これまで、頑張ってこられた皆さんの姿勢が、こういった患者さんたちに繋がっているのですね。

そういう患者さんで満ちていけば、今後も今の現状にある恩恵は、多くの人達によって守られていくことになるでしょう。

また、そういう患者さんを支援していく医療は賞賛をあびて行く事でしょう。

「透析を受けなきゃならなくなった。とても悲しい。」と嘆く時代は終わりました。

「透析を受けていても前向きに明るくに生きる」はその根本にあり、それを実現してくれる透析医療者と共に実践して行く時代になってきたようです。

実現を拒む勢力は、次第に社会から強い批判を向けられるようになってしまうかも知れませんね。



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