SSS77


オーバナイト透析&在宅透析という両透析スタイルには、透析医会や医学会での若干の反発が兼ねてからありました。

なぜかと言えば、その危険性などについて追及されることもありましたし、オーバーナイト透析では、医療費の問題なども含まれています。

透析医療に関しては、費用における社会的バッシングが以前からあり、そこまで助成するべきかの議論が巻き起こる場合もありますからね。

一方、在宅透析はオーバーナイト透析以上に危険性があるとして、更に厳しい意見が出ていたようです。
医療従事者が付き添わない透析ですから当然かもしれません。



しかし、なお、このオーバーナイト透析と在宅透析がなぜ推進されてきたのか?
その背景には一体何があるのでしょう?



透析医療というのは、社会的支援の元に大きく飛躍してきた医療です。

以前のように、月に20万円も30万円も患者がお金を支払わない限り透析が受けられないとしたら、恐らくこのような発展はなかったでしょう。

ある意味、特別な医療として国に認められてきたからこそ、今日の「人工透析」があるのです。



しかしながら現代では、超高齢化社会のために医療費がかさみすぎ、政府としても十分に医療として行き渡ってきた透析医療の締め付けの時代に入らざるを得なくなりました。

これ以上の社会的支援は透析医療界でも期待薄なため、透析医療を守るためにも様々な工夫がなされています。

人工透析が社会にもたらすポジティブデータが必要になる訳ですね。

そこで取り上げられてきたのが、若い世代の透析患者さんたちです。

彼ら、彼女らは、先天的な疾患理由の元に人工透析を余儀なくされた人達です。
そして、当然のことながら、透析を受けていながら、社会の中で働いて行かなければいけない状況にある場合も多いです。

彼ら、彼女らのそういった境遇に見合う透析とは何か?
そういう疑問を感じた透析医療従事者の手によって考え出された透析スタイルこそ、「オーバーナイト透析」であり、「在宅透析」なのですね。

透析医療が年々進化していった時代に、透析を受けながらでも懸命に働く患者さんが多く輩出されていき、(かつても働きながらの透析患者さんはいましたが、体調の維持がとても難しく、また働ける期間も短かった)ここに透析医療のイメージを変えて行ける要素があった訳です。

血液透析を受けていても元気に働けます!

これは「透析医療」のイメージを大きく変えて行けるスローガンとなるのです。



しかし、安全性の面から指摘が起き、この「オーバーナイト透析」や「在宅透析」は疑問の声もあった訳ですから、推進派の方々はここに社会的ニーズを加えたかったとも言えます。

フルタイムの仕事をし、社会の中でしっかり納税(現役で)していける透析患者さんを生み出していく事こそ、「オーバーナイト透析」や「在宅透析」の可能性を広げる元と考えました。



現時点では、「オーバーナイト透析」というスタイルは、医療費の助成が追いついておらず十分な利益が出ないにもかかわらず、心ある医師の手によって広がろうとしています。

一方、「在宅透析」でも十分な診療報酬に繋がらないため、医療側にとっては旨味の少ない医療ということ(売り上げのアップにはならない)で、こちらも心ある医師の手で広げられてきました。
ただし、政府としては通常の施設透析に比べ助成額が少ない「在宅透析」には支援のメリットがあると考えてる向きがあります。



透析医療は、今、過渡期にあります。

超高齢化社会と並行しつつ、人口減という問題もあり、医療費の問題は今後もなくならないでしょう。

その中で、いかに透析医療界全体にかかる費用を削減して行くかということは年々問われていくことになるからです。

「オーバーナイト透析」と「在宅透析」のあり方が、現代の透析世界を変えていく可能性があります。

推進派としては、働いて現役納税する患者さん(主婦業も含め)が増えて行くことが大事である訳ですね。



透析医療従事者も透析患者も、透析室での愚痴合戦時代はもう終わりました。

これからは、透析を受けても元気に頑張る患者で溢れかえる時代であり、またそういった患者さんを懸命に守っていく医療者で満ち満ちていく時代なのです。

65歳未満で、まだまだ働けるよという患者さんは、社会に出ていくべき時なのです。

そして、そういった患者を透析医療者が守って行き、透析医療の可能性の高さを見せる時なのです。



今もなお、透析を受けつつグチグチ状態の患者さんはどなたでしょう。
今もなお、透析医療という仕事をしながら患者の可能性を閉ざしている医療者は誰でしょう。

1人、1人の意思と心がけが、これからの透析医療の中で課せられている使命なのです。



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